さて、本日もとんがったゲームを紹介していきますよ。今回はちょっとグロ注意です。
今回紹介するのは1988年にホット・ビィがPC-88/PC-98/X1/FM77向けにリリースした、コマンド選択式のタイムサスペンスアドベンチャー、
『Genji』です。
光るほうではなく、紫式部のほうの源氏物語が基になっています。今回はスクリーンショットが暗かったから明るさ調整して光らせてはいますけども。
朝顔の凄惨な死から始まる一連の殺人事件の謎を、源氏が追いかけるというお話です。源氏はどちらかというと疑われる側なのですが、帝が無実を証明しろという意思を込めて任命したのだとか。
▲犯されたうえに心臓をえぐられて死亡した朝顔
▲源氏の腹心・藤原惟光が捜査をたびたび手助けしてくれます
風雅な平安時代の物語にタイムトラベル(SF)とサスペンスを融合した内容……というとまるで闇鍋ようですが、意外にストーリーはまとまっていますよ。もともと源氏物語は「教科書に載ってていいの? 子どもに読ませていいの?」ってくらいエロいことばかりしている話ですし。古文っていうより保健体育ですよね。なのでSFはともかくエログロとは相性がいいのでしょう。
ゲームとしてもなかなかよく出来ており、シナリオをきちんと読んでいれば次に何をすべきかや何がヒントになっているのかがわかりやすくて遊びやすいのが嬉しいところ。手渡しされたアイテムを「取る」コマンドで指定しないと受け取れないのはやや不便かなと思いましたが、慣れればスイスイ進められます。このジャンルにありがちなコマンド総当たり形式ではないのもありがたい。あれはプレイヤーの時間と精神を削りますからね。
美少女ゲームらしく、捜査中のコマンドには「Do」というものがあり、これを選択するとエッチなことができます。大抵の女性には断られて終わりですが、意外なことに事件のヒントを得られることもあります。
従姉であり正妻の葵の上(葵の名前は後世の読者によって付けられたものだそうです)はツンケンしてますが、まんざらでもなさそう?
男と話している時でも「Do」は選択できますが、男同士でエロいことをする展開にはなりません。
とまあこんな感じで遊びつつも捜査していると、事件の情報が集まってきます。どうやら被害者が持っていた鈴が事件に関係していること、殺人は妖怪の仕業であること、妖怪を操っていたものの正体、そしてその人物をさらに影で操る黒幕がいること……。少しづつ謎が解けていくのはなんともいえない面白さがありますね。
平安時代に紛れ込んだ時間犯罪者を止めるため、源氏は未来組織の女と手を組みます。軟派な源氏とお堅い女捜査員のやりとりは見ていて楽しいものでした。
格好いいシーンもあったりと、ジャンルのごちゃごちゃ感に反してなかなかよくできた一作です。今ならProjectEGGで配信されているので、気になったらぜひ遊んでみてください。
おまけ。時間犯罪者が源氏の周囲に紛れ込んでいること、それが男だという情報を知ったとき、筆者は藤原惟光が犯人かもなと思いました。だってこいつ、平安生まれ平安育ちのくせしてリターンキーの存在を知ってるんですもん……。
この推理が的外れか、はたまたまさかの大正解かは本編を確かみてみろ! ということで今回はこれまで。また次回もよろしくお願いします。